平成16年度は研究計画の初年度として、全国的なコメ流通や産地形成の動きに関して、関連資料や統計、文献等からの情報収集とともに、系統農協コメ共販の取り組みや各道府県の水田農業政策等に関連して、先進事例の実態調査を行った。具体的には、農協からは、地域水田農業ビジョンへの取り組みや米の独自マーケティング活動(買取り集荷、販路開拓、産地指定等)、産米改良における生産者指導の取り組み等に関して調査した。他方、全農県本部や県行政からは、水田農業ビジョンの策定状況や自県産米の販売状況、県下の系統米共販の方針、トレーサビリティシステムの取り組みに関して情報収集した。 特に、長野県農協中央会及び全農長野県本部からは、水田農業再編対策やコメの系統農協共販活動の取り組み、農協独自のマーケティング活動の動き、さらに県下系統農協の経済事業改革の方針についてヒアリングした。また福岡県においては、県農協中央会、全農福岡県本部、筑前あさくら農協、糸島農協、福岡市農協、くるめ農協及び筑紫農協から主に系統農協のコメ共販の独自戦略について情報収集した。なお、福岡県内の農協コメ共販の展開形態ついては、他の研究者との共同研究成果として公表した。 そして佐賀県庁では、生産目標数量の市町村配分方法や産米改良の取り組みについて、佐賀県経済連からは自県産米の系統販売戦略について、さらに全農京都府本部からは米のトレーサビリティシステムの先進的導入について調査した。そのほか、国内最大コメ産地の北海道では、ホクレンからは道内系統農協コメ共販の戦略と課題について、いわみざわ農協ではコメの用途別需要に対応した水稲再編戦略について、ながぬま農協からは品質改善の向上を目的とした生産者個別管理の状況について実態調査した。 また、中国のコメ主産地の再編動向や流通政策、マーケティング志向について、関連文献や統計資料等の情報報収集により整理し公表した、 以上のコメ主産地及び先進事例等からの情報収集により、今後の作業仮説の設定に関する貴重な知見を得た。なお、農協コメ共販の実態把握においては、昨年の秋以降に、良食味米産地である新潟県魚沼地方の農協を調査する予定であったが、中越地震の発生にともない次年度計画に延期することになった。
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