本年度は最終年度であるため、資料収集と調査と研究のとりまとめを行った。 1.韓国における定点調査地(忠清南道・論山市野花二里)の補足調査 定点調査し始めた段階(1985年は58戸から26戸まで減少してきている。とりわけ、1995年以降の農家減少が極めて激しいことがわかった。農家構成は、中間層肥大の傾向であったが、二極分解が進み、点的な専業農家と圧倒的多数の老齢貸し付け農家という構成になっている。 2.山形県酒田市旧北平田村新青渡集落悉皆調査 1983年、1994年に調査した農家悉皆調査をトレースする悉皆調査を実施した。農地改革当時北平田村方式という交換分合と農地改革を実施したことの特別な理由が明らかになった。小作大経営層を中心とする3ヘクタール規模層が、農地改革で分厚く形成されていたために、韓国のような農家構成の現れ方はしなかった。これも戦後自作農と家族経営の違いである。 3.韓国農地法体系の構成と改正過程 農地法が自作農を前提に制定され、それがどのように改正し、変貌しているかを政策と法体系から検討した。この点については農地法の翻訳も行った。
|