研究概要 |
平成16年度の「研究の目的」と「研究実施計画」をふまえて,今年度の研究を以下のように実施した。 第一に,統計・資料・文献研究については,米国の小麦部門,酪農部門,野菜園芸部門に関して,主としてカンザス州,北ダコタ州,カリフォルニア州地域での統計および調査資料を収集・分析し,あわせて当該地域における現地調査の準備を行なった。 第二に,海外(米国)調査は,大平原小麦地帯(カンザス州と北ダコタ州)に加えて,大西洋岸の園芸大産地であるカリフォルニア州において実施した。このうちカリフォルニア州調査では,(1)カリフォルニア大学デービス校農業経済学科を訪問して担当教授,専任研究員から情報収集を行ない,NAFTAの下での州内園芸農業部門の基本動向とその中でのメガファームの展開についての把握を行なった。(2)同州サリナス地域において州内最大級の巨大野菜農場の訪問調査を実施し,その技術,土地利用,雇用労働力管理,販売戦略上の特質について把握した。(3)同州キングシティ地域において全米最大級の巨大ワインぶどう農場の訪問調査を実施し,その技術,土地利用,雇用労働力管理,ワイナリーとの結合関係等の特質について把握した。 カンザス州調査では,中規模から大規模にわたる合計5つの小麦農場とカンザス州立大学農業経済学科を訪問調査し,小麦農場が大規模化する経済的メカニズム,肉牛肥育部門との複合化が有する意義,精密農業等の最新技術の採用状況とその効果などについて把握した。 北ダコタ州調査では,肉牛肥育による素牛生産者への付加価値還元を目的とする協同組合型大規模フィードロット農場と,飼料作物生産者と地域住民等が共同で出資する有限責任パートナーシップ型大規模ドライロット酪農場について訪問調査を行ない,これら地域資本依存型のメガファームが持つ技術的性格と同時に,それが農村地域振興に与える貢献についても分析した。 第三に,国内調査として,北海道野付郡別海町の大規模酪農経営を訪問調査し,フリーストール,TMR給餌,ミルキング・パーラーという技術パッケージが持つ性格について検討を加えた。
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