研究課題
基盤研究(C)
持続可能な園芸生産システムの構築を意図して、農業生産活動が環境に与える影響を統合的に評価する手法の確立を試みた。研究事例として施設トマト生産(土耕栽培および養液土耕栽培)を取り上げ、以下の研究を実施した。1 園芸生産の統合的評価モデルの構築園芸生産の環境負荷データを用いて環境影響評価を行う際、そのデータをいかにして統合化するかを検討した。ライフサイクルアセスメント(被害算定型および問題比較型のライフサイクルインパクトアセスメント)、多基準評価等の方法を比較検討の後、影響評価を実施した。その際、農薬の環境影響等については、評価に必要な係数(特性化係数)が公表データとしては得られないため、運命分析(一定量汚染物質を排出したときの大気、水、土壌中の濃度の算出)や暴露評価(汚染物質の濃度上昇に伴う人間や生態系の暴露量の計算)等を用いて被害を算定する方法を適用した。さらに、調査データ等を用いて園芸生産システムの損益計算を行った。2 環境負荷に関するデータ収集とデータベースの整備窒素施肥および薬剤散布等に起因する環境負荷の程度を、実験データおよび栽培履歴データ等から推計した。これは、ライフサイクルインベントリ分析に相当する作業である。まず、窒素施肥については、日別施用量、ガス分析(通気式チャンバー法)等から窒素施肥に伴う環境負荷物質の排出量を計算した。次に、薬剤散布については、実証試験圃場での薬剤散布データを収集し、それを基に散布した成分量を算出した。さらに、肥料および薬剤製造過程における環境負荷については、公表されている排出係数、産業連関表等により推計した。以上の計算に基づいて、園芸生産過程と資材製造過程での環境影響を比較すると、特に施肥についてはその製造過程での負荷が大きいことが示された。
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18th Workshop on Methodologies and Tools for Complex Systems Modeling and Integrated Policy Assessment, Abstract
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