研究課題
基盤研究(C)
我が国の持続的な稲作農業のためには、稲作農家の経営規模を拡大し、水田を面積数ha以上の巨大区画水田として整備する必要がある。巨大区画化のための方策(担い手への農地の利用集積、利用集積地の集団化)は明らかになっておらず、また、巨大区画化した場合の技術的問題点も懸念されている。本研究では、わが国で先駆的に巨大区画水田整備を行った地区と、わが国に数10年先行して巨大区画水田での大規模稲作経営を実現しているアメリカ、オーストラリア等の水田地帯を対象に現地調査を行い、水田区画の巨大化と農業経営の大規模化によって生じる効果、問題点およびその対策等について明らかにした上で、今後のわが国における持続的農業のための巨大区画水田整備のあり方を提示することを目的とした。その結果、以下のことが明らかになった。1)米国カリフォルニア州およびアーカンソー州では、ここ20年の間に農場経営者がレーザーを用いた均平を行って32〜64haの巨大区画水田を創出していた。大規模経営にはこうした巨大区画水田が有利と考えられる。圃場の法尻にそって仮設の溝を掘削し、四周から灌漑・排水することで迅速な湛水・排水が可能になっている。2)豪州のニューサウスウェルズ州でも区画規模を拡大していたが、5ha程度のほとんどだった。この要因として、経営規模が200ha程度と比較的小さいこと、水稲・畑作の輪換を行っており、畑作時には圃場に若干の傾斜があった方が畝間灌漑や排水に有利であること等があった。3)日本で巨大区画水田を創出するためには、利用集積された農地を集団化する必要がある。その方法として、所有権とは別に耕作する権利だけを集団化する耕作権調整の手法が有効である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
農業土木学会論文集 241
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Transactions of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering No.241
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農業土木学会誌 73・4
ページ: 65-68
Transactions of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering No.238
Paddy and Water Environment Vol.3, No.4
Journal of the Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering Vol.73, No.4