研究課題
電気式コーン貫入試験法は、最近良く用いられる現位置試験法の一種で、先端のコーン直上部に備えたセンサーにより得られる、コーン貫入抵抗、間隙水圧及びロッドと粘土との摩擦抵抗の3成分を用いて原位置地盤の判別を効率よく行おうとするものである。これまで電気式コーンの粘性土地盤への貫入機構は十分明らかにされていなかったため、本試験法の利用には限度があった。本研究では、まず、粘土地盤への電気式コーン貫入機構を、すべり線解法を用いて3次元的に解析した。解析では、土は完全塑性剛体とし、応力はMohr-Coulombの破壊包絡線及びHaar-von Karman条件を満足すると仮定した。コーン先端の周囲のすべり線場を、コーン先端角2α=60°に対し、3種類のコーン及びシャフト表面の摩擦係数(ζ)に対して解析した。ここで、ζは粘土の鋭敏比の関数でもある。コーン支持力係数(N_<cp>)はコーンやシャフトの表面の粗度及びコーンの相対貫入深さの関数として表した。電気式コーン係数N_<kt>の値は9.5〜14.5の範囲で与えられたが、これらは多くの研究者が提案した値の範囲に含まれるものであった。つぎに、有明粘土地盤の6地点において実施された電気式コーン貫入試験結果を用いて地盤の原位置における物理的性質としての土の密度ρ_tや力学的性質としての非排水せん断強さs_uの推定への適用性について検討した。半解析的に導いたρ_t予測式は実測値とよい一致を示した。s_uを推定するために用いられる電気式コーン係数N_<kt>はコーン表面の粗度や粘土の鋭敏比S_tの関数となるが、鋭敏性の高い粘土の場合N_<kt>=11を用いると電気式コーン貫入試験結果からs_uを推定できることが明らかとなった。
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