研究概要 |
電気式コーン貫入試験法は、軟弱地盤の現位置試験法の1つとして世界的に幅広く使用されている試験法である。本試験法の特徴は、試験機先端のコーン直上部に備えたセンサーにより得られる、コーン貫入抵抗、間隙水圧及びロッドと粘土との摩擦抵抗の3成分を活用すると原位置地盤の判別が効率よく行えることである。 これまで、本研究代表者を中心にして電気式コーン貫入機構の解明がなされてきたので貫入試験データを用いて粘土地盤の非排水勢断強さ評価がかなり精度よく行えるようになってきた。しかし、依然、貫入試験データから推定される粘土地盤の勇断強さと室内試験により得られる勇断強さとの問には、地盤の種類にもよるがかなり差があることが明らかにされている。 本研究は、有明粘土地盤において実施された電気式コーン貫入試験結果および土質試験結果をさらに集積すると共に、貫入試験結果より推定される粘土の勢断強さと対比する室内試験により得られる勇断強さとの相関を、試料採取時の撹乱の度合いの関数として整理することを検討したものである。 まず、室内強度試験結果より得られる、供試体の撹乱の度合いを表す指標となる変形係数と電気式コーン貫入試験より得られる、粘土の密度の関数となる過剰間隙水圧をパラメーターとして用いて表される一次式を,撹乱を受けたと思われる粘土の勇断強さを取り除くための式(フィルター式と称す)として提案した。 次いで、この提案式を用いて室内試験による勇断強さのうち撹乱の影響を受けたと思われるデータを除去したものと電気式コーン貫入試験結果から推定した勇断強さとの相関を検討した。 この結果、両者の相関は大変よく,誤差は±20%以内におさまることが明らかになった。これにより、電気式コーン貫入試験結果を用いた精度の良い原位置地盤評価法が可能となった。
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