研究試料は、鹿児島県溝辺町で採取した1次シラスである。現地調査の上、試料を室内に持ち帰り、含水比、土粒子密度、湿潤密度、pF試験および締固め試験を行い、試料の基本的な性質を明らかにした。さらに、締固めた不飽和状態での試料の圧縮特性やせん断特性、および水浸によるこれらの特性の変化を把握するために、一次元圧縮試験、定圧一面せん断試験および不飽和三軸圧縮試験を行った。実験に用いた供試体は、風乾した試料を2mmふるいに通過させ、初期含水比を20%に調整して乾燥密度が1.00g/cm^3になるように締固めて作製した。これらの試験から得られた主な成果は以下の通りである。 1.締固めたシラスを一次元圧縮中に水浸するとコラプスを生じる。コラプスの発生量は、飽和供試体の圧密降伏応力をわずかに越えた応力領域で最大となる。締固めたシラスを、水浸後さらに圧縮応力を増加させると、その間隙比-圧縮応力曲線は飽和供試体のそれに漸近する。 2.締固めたシラスを一面せん断中に水浸すると、急激な体積収縮と同時に、飽和供試体のせん断強さ程度までせん断応力が減少する。飽和供試体と水浸後供試体のせん断強度にわずかな差が認められるのは、水浸までのプロセスの違いが乾燥密度に影響したためであると考えられる。 3.不飽和三軸圧縮試験から、供試体の体積変化には拘束圧力が、水分量変化にはサクションが寄与する。
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