研究に用いた試料は、前年度に引き続き鹿児島県霧島市(旧溝辺町)で採取した1次シラスである。締固めたシラスの不飽和状態での強度・変形特性を明らかにするために、サクションを制御した不飽和三軸圧縮試験を行った。実験に用いた供試体は、風乾した試料を2mmふるいに通過させ、所定の初期含水比に調整した上で乾燥密度が1.00g/cm^3になるように締固めて作製した。供試体に与えた拘束圧力は98kN/m^2であり、サクションは49〜196kN/m^2の範囲の4通りとした。圧縮過程では、まずサクションを所定の値まで増加させた後、拘束圧力を増加した。せん断過程は排気排水条件とし、軸ひずみ速度は0.01%/minとした。これらの試験から得られた主な成果は以下の通りである。 1.圧縮過程において、拘束圧力の変化は主に体積変化に影響をおよぼしており、サクションの増加は主に水分量減少に影響をおよぼすことが明らかになった。 2.サクションの高い供試体ほど最終的な体積収縮量が小さかった。これは、拘束圧力を増加させる前に所定のサクションを負荷したため、土粒子の骨格構造がサクション力に応じた剛性を持ったためであると考えられる。 3.せん断過程において、サクションの違いは供試体の強度や体積ひずみに影響をおよぼさなかった。これは、圧縮過程終了時にサクションの高い供試体ほど密度が低かったために、強度・変形特性にサクションがおよぼす影響が相殺されたことが原因であると考えられる。
|