研究概要 |
環境負荷や持続的農業という立場から,精密農業が注目されている。精密農業を展開するためには,ほ場あるいは作物の情報を的確に把握する必要がある。このために,作物生産の場である土壌の情報を修得するための土壌サンプリング作業の簡易化を目指し,土壌の自動連続サンプリングシステムの開発に取り組んだ。本システムは,土壌サンプリング部と制御部に分かれ,トラクタに直装される。走行中,停車することなく連続的に土壌をサンプリングできること,作業速度1m/sを維持できることを開発目標とした。 土壌サンプリング部は,ロータリ部,土搬送部,土壌採取部から構成される。制御部は,GPSと制御用PCから構成される。土壌のサンプリング方法は,まず,ロータリで土壌を耕うん・砕土する。次いで,コンベア製の土搬送部で土壌を後方上方の土壌サンプリング部へ搬送する。そして,土壌サンプリング部では,土壌を収納する採土缶の動作を制御し,搬送されてきた土壌を採土缶内に確保する。土搬送部は連続的に土壌を搬送し続けるが,その土壌を間欠的に採取することで,一定間隔の土壌サンプリングが達成される。この間,本システムが停車することはない。採土缶を一定時間間隔で間欠的に動作させるためには,本システムの移動距離の計測が必要になる。これにはGPSを適用した。GPSで位置データを計測し,PC内に予め設定された土壌サンプリング間隔を本システムが移動した時,採土缶が自動的に移動を開始し,採土缶内に土壌が採取され,一定間隔での土壌サンプリングが行われる。土壌サンプリング間隔を5m,10mと設定した場合,供にGPSによる動作精度は設定値に対し有意な差はなかったが,設定値を20mとした場合は精度に有意差が生じた。土壌の採取性能に関しては,約1秒間で約150gの土壌が採取されることが分った。
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