研究概要 |
本研究では、サトウキビを基幹作物として栽培している奄美諸島においてサトウキビ用収穫を利用して木質系バイオマスを栽培、収穫するシステムを構築することを目的としている。 1.木本の切断特性に関する基礎データの収集 既存のサトウキビ収穫機を基本としてできるだけ少ない改造・部品交換などの処置により、木質系バイオマスの収穫に使用できるようにするには、刈刃部の性能が最も重要と考えられる。そこで、サトウキビ収穫機で使用されている刈刃を用いて樹木を切断した場合の切断抵抗を測定した。採取した樹種は、スダジイ、アカガシ、ホソダハブ、ヤブニッケイの4種である。 それぞれの樹種の切断特性を測定した結果、剪断応力はホソダハブが6.91MPaと最も小さく、次にスダジイ(8.78MPa)とヤブニッケイ(8.48MPa)であり、アカガシが最も大きな値(11.38MPa)となっていた。 2.奄美群島の樹種に関する検討 2000年林業センサスデータをもとに奄美群島の森林資源の状況を調べると,森林面積は約68,300haあり,そのうち人工林が12,770ha,天然林が55,500haとである。現地調査ならびに過去に行われた奄美大島での植生調査結果から,天然林の主要樹種はリュウキュウマツとスダジイであることが分かった。リュウキュウマツはパルプチップあるいは工芸材料としての需要があることから,スダジイが利用可能な資源であると考えられた。今後,その他の広葉樹種の特性を調査し,プランテーションとしての可能性を検討する。
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