側窓を装備しない大型フェンロー温室の換気率が、側窓および天窓を装備する従来型の温室の換気率よりもかなり小さいことが指摘されている。本年度はこの原因を明らかにする目的で、側窓の有無が換気性能に及ぼす影響について実験的に調べた。 1.天窓および側窓を装備した従来型の温室(床面積約190m^2)を利用して、換気窓の総開口面積(天窓開口面積+側窓開口面積)が同じ場合について、側窓と天窓の開口比が換気率に及ぼす影響を調べた。その結果、総開口面積が同じ場合でも、天窓と側窓を開口した場合の換気率は、天窓のみを開口した場合の換気率の1.5〜5倍となり、側窓の有無が換気率に大きく影響していることが示された。これは、側窓を開口した場合、側窓から流入した空気が暖められて天窓から排出する、いわゆる煙突効果が促進されることによるものと考えられた。 2.天窓および側窓を装備した、比較的小型のフェンロー温室(床面積約1740m^2)で1と同様の実験を行ない、温室内外気温差により換気性能を評価した。その結果、側窓を開口することによって内外気温差を小さくすることが出来るが、その効果は側窓から20m付近までであった。このことから、大規模のフェンロー温室における側窓の設置は、側窓付近の気温低下を促進できるが、気温分布を不均一にする可能性があると考えられた。
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