病虫害防除用農薬は圃場全面に散布されており、予防のため定期的に散布する例が多く見られるがこの体系では必要以上に散布する可能性がある。これを防止するためには、病気発生初期に病気を検出し農薬を効果的に散布する必要がある。本研究では早期病害発見と農薬の散布方法決定支援のための病害発生状況マップを構築することを目的とした。本年度は、昨年度作成した波長別画像取得システムの改良および、レタスを対象に病害の検出を試みた。 1.昨年度の波長別画像取得システムは、波長を1つ1つ指定して画像を合成していた。これでは400〜1000nmのすべての分光画像を取得するには時間がかかるため、画像名を指定したらすべての分光画像を合成し保存するプログラムを作成した。また、指定された画素のスペクトルデータを.txt形式で保存するプログラムを作成した。これにより、健全な部位と病害が起こっていると思われる部位の波形を比べることが可能となった。 2.6/7に20cmポットにレタス種子(品種:サクセス)を播種し、培養した腐敗病菌と斑点病菌を8/4にそれぞれ3ポットずつ霧吹きで接種した。8/10から開発したシステムにより2日おきに室内の照明下で撮影を行った。 クロロフィルの吸収帯660nmから水分の反射帯860nmおよび緑黄色の反射帯550nmの反射強度を引いた値で画像を合成した場合、目視で病状がわかる部位は検出可能であったが、目視で病気発生が確認できる直前を検出するのは、ノイズが多くあり識別することは困難であった。 腐敗病菌を接種した苗と健全苗の画素のスペクトルデータを比較した。いくつかの波長帯で二つの苗に違いがあると考えられた。しかし、データ数が少ないためと照明に不備があったため、試験を追加して調査する必要があると考えられる。
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