本年度は農作業者の意志論理をトラクタ等の作業機操作レベル(スキルベース)及び作業適期等の判断(タスクベース)で解明するため調査・実験を行った。スキルベースでの作業者の意志決定論理を解明するために、トラクタ運転経験の異なる複数の被験者について、トラクタ運転中の視点をアイマークレコーダによって記録するとともに、トラクタキャビン内での動作やハンドルの操作方法についても記録し、未熟な者ほど、視点位置が定まらない等の特徴を明らかにした。引き続き、定量的な評価を進めている。 タスクベースの意志論理については、農協の協力により組合員約400名を対象としたアンケートを実施し、年齢、作付け面積、作目等と作業判断のために必要とされる情報及びその情報源について調査した。その結果高年齢者ほど情報収集行動は低下するものの、若い生産者に比べて作業をこまめに記録している。ITの利用・更にそれらの記録情報が作業技術や営農に利用されている傾向があることが示唆され、熟練者(高齢の生産者)とその他の者の間での相違が確認された。 また、アンケートの共分散構造分析による結果、インターネットに代表されるIT技術の習熟度を決定する主たる因子として、年齢と作付け面積がそれぞれ独立して関係していることを明らかにした。 ロボット操作用ソフトウェアについては、カメラ画像から周囲の危険要因を抽出してその周辺環境同定を容易にするための前処理手法として全方位カメラ画像の補正手法を開発し、補正による周囲10m内の画像の位置誤差は±60cm以内であり、遠隔操作者の作業周辺状況の把握を容易にできることを明らかにした。 また、農薬散布作業に関する意志決定支援手法についても、携帯電話での利用を可能に改良することによって、その利用範囲及び実用性を高められることを示した。
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