研究結果の慨要は下記のとおりである。 1.バーチャルリアリティを利用したユーザーインタフェイスの開発 Google Mapの高精度衛星地図とそのユーザーインタフェイス(API)及び非同期データ通信技術(AJAX)を活用して遠隔地の作業者に高精度圃場地図上に作業機の位置及び方向を提示、作業機の状況を確認しながら遠隔操作を行えるソフトウェアを開発した。 更に、米国バルパライソ大学との共同研究により、オープンGLをベースとしたグラフィックツールOpenSceneGraphを用いて衛星画像を3次元バーチャル圃場に展開し、大型スクリーン等を用いたバーチャルリアリティユーザーインタフェイスにて作業機を遠隔操作できるシステムを開発し、米国インディアナ州バルパライソ大学から北海道農業研究センターの作業機操作試験を行った。その結果、高精度な周辺環境情報を提示できれば、作業機からの位置及び姿勢情報のみで操作者は作業機と建物等の周辺障害物との距離を把握することができ、不安感を軽減し、遠隔操作が容易になることを明らかにした。 2.トラクタ操作技能における熟練者の特徴解明 熟練作業者の意思決定論理を大きく、作業時期等や作業の内容など、作業(タスク)と作業機操作等の技能(スキル)の2つに分けて解明を試みた。今年度はこれまでのタスクレベルでの分析に続き、トラタタ運転技能に着目し、運転操作時の視点から習熟者と未熟者の相違を明らかにした。 経験年数の異なる被験者がトラクタを運転する際の視点位置をアイマークカメラにより調査・分析した結果、経験の少ない操作者ほど、注視点位置のばらつきが大きく、熟練になるにつれて、視点の動きは小さい傾向がみられたが、熟練者間の個人差も大きかった。
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