牛が牛舎内の休息場所で排泄せず、他の場所で排泄するようにする「牛のトイレのしつけ」が目標である。本研究では、無線ID内臓型起立検知装置とフィードステーション(FS)を用いて、排泄場所をコントロールする方法とそれを実用化に近づける方法を検討した。 1.無線ID内臓型起立検知装置の開発 起立検知装置のセンサは、当初水銀スイッチを利用していたが、公害問題を考えて傾斜スイッチに変更した。さらに、起立検知装置とICタグさらにFSを1台のパソコンで制御するプラグラムもほぼ実用化レベルまで到達した。 2.群飼育での試験 (1)供試動物と飼養施設:2年間で3実験を実施した。3実験ともホルスタイン種育成牛6頭を用い、飼養場所はFSを模した施設で行った。各牛の左後肢に起立検知装置を取り付けた。 (2)試験1:牛が起立後、制限時間以内にFSに進入すると配合飼料が給与されるようにした。制限時間は60分、30分、10分、5分という4処理を設定した。結果:FSを利用すると休息場所の排糞は有意(P<0.05)に減少した。しかし、FSへの誘導成功率は処理間で一定しなかった。 (3)試験2:制限時間を60分と10分の2処理を設定した。結果:休息場所の排糞は制限時間60分の方がより減少することが明らかとなった。 (4)試験3:2処理を比較した。〔起立給餌期〕起立した後FSに進入すると最初の1回のみ給餌した。〔4回給餌期〕FSで6時間間隔1日4回給餌した。結果:FSを使用するとFS周辺の排糞が顕著に増加した。4回給餌では起立直後の排糞が多かったが、起立給餌にすると起立直後にFSへ進入し、FSで採食を終了してから排糞する傾向がみられた。 以上の研究成果より、起立検知装置を使った〔起立給餌〕の方法が、牛の排泄場所制御において、より効果的であることが示された。
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