畜肉生産に伴ない発生する獣毛・羽毛の利活用を進めることで、ゼロエミッション化を目指す。実験モデルとして、簡易的な加水分解法の確立、およびその用途開発を行った。産業的応用を目指し、羽毛の処理方法として、加水させることで体積を減らし、低濃度のアルカリ溶液中で、短時間の加熱処理することで臭いを抑えた加水分解ケラチンの製造方法を確立した。この技術はPCT/JP2005/005672「可溶化ケラチンの製造方法」として国際特許取得を目指している。この特許の特徴は、先行技術や研究と異なり、微細化せずに可溶化することである。その為、実用化が容易であり、企業への権利移行が望める。 加水分解ケラチンの利用法として毛髪保護剤としての効果を検証した。実験的にダメージを与えた毛髪への補修効果が電子顕微鏡観察により確認できた。別用途での利用方法として、皮革改質剤としての効果について検証した。その成果を特願2005-282444「皮革改質剤」として出願中であり、革製品の歩留まり率の向上と、革保護効果を加味できる新たな製剤としての用途開発が可能となった。 微生物による獣毛・羽毛の分解方法の確立として、帝京大学医真菌センターおよび東京都立皮革技術センターとの共同研究を進め、ケラチン分解活性を有する数種の真菌を得た。また、研究の過程で、ケラチン分解活性の判定を容易に行うことが可能なケラチンザイモグラフィー法を確立し、既存株での確認を行った。本分析方法を用いることで、菌から酵素を精製すること無しに特性解析を行うことが出来、また、菌の同定も可能であった。
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