研究概要 |
平成16年度に引き続き山林傾斜地に肉用牛放牧区を設定し、放牧試験を行った。6,600m^2の圃場に交雑種育成雌牛5頭を4月下旬から11月下旬まで、夏季に約2ヶ月の休牧期間を設けた上で、延べ137日間放牧させた。植物バイオマス・植生の変遷と家畜の採食行動・栄養状態・体重変化に関して調査を行い、以下の結果を得た。平成16年10月にケンタッキーブルーグラスを2kg/10a、平成16年6月と17年6月にセンチピードグラスをそれぞれ2kg/10a播種した。 1)放牧開始直前に21種の植物種を得た。放牧期間中、禁牧区に比較して放牧区の平均被度および平均植生高は減少した。放牧前に多かったススキとケンタッキーブルーグラスの被度と現存量は5月から8月にかけて急激に減少した。休牧期間中にセイタカアワダチソウの被度と植生高、およびセンチピードグラスの被度が増加し、主要な植生を形成した。10月の放牧再開後はセイタカアワダチソウの被度と植生高は減少したが、センチピードグラスの被度は変わらなかった。 2)育成雌牛の体重は、4月の放牧開始時に平均205kgであった。8月の休牧直前に274kg、11月の終牧後に312kgで、平均日増体量は4月から8月までが0.58kg、10月から11月が0.41kgであった。採食植物種数は6月には9種、11月には10種であった。すべての個体が試験期間中に初発情を示し、初発情開始時の平均体重は253kgであった。 このようなデータを踏まえ、平成18年度は本年度とは異なる放牧強度を設定し、家畜の成長と植生の変化に関するデータを蓄積したい。
|