2005年12月14日より島根県大田市内の3繁殖農家の野草を主体とした耕作放棄地に交雑種育成雌牛を移動し、2006年12月9日まで、定期的に牛の体重を記録した。2006年5月、8月および12月に放牧地の植生調査を行った。期間中、牛は濃厚飼料を1日1頭当り1kgを上限に給与されていた。牛が定期的に発情を示す場合は、人工授精を施した。体重は調査開始時が平均で318kg、終了時が424kg、受胎時には362kgで受胎月齢は25.5ヶ月齢であった。調査期間中の360日間の日増体量は0.39kg、調査開始時から受胎時までの日増体量は0.22kgであった。合計26箇所に2m×2mのコドラートを設置してその被度を測定した結果、放牧開始時の4月における優先種(被度4%以上が2箇所以上)は、スギナ、ムラサキウマゴヤシ、スゲ、ススキ、ミゾソバ、ミヤマキンバイ、イヌノフグリ、セイタカアワダチソウ、チカラシバ、ギシギシ、スミレサイシン、カキドオシであった。調査の結果、野草地での放牧を主体とした飼養条件下において、交雑種雌牛は日本飼養標準肉用牛(2000)における雌牛の標準的な発育の下限(日増体量0.4kg)を達成し、受胎することが示された。
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