有用野草の種子増殖による草地造成技術開発に関して、有用野草であるチガヤの種子繁殖特性を検討した。さらに、冠毛の存在により収穫が困難なチガヤ等の野草の種子採取方法について、採取機械を考案し、その作業効率を検討した。具体的には、種子繁殖特性については、チガヤには種子休眠性の深い系統と浅い系統が存在し、これらは形態や生理・生態的な特徴が異なることが全国での調査によって明らかとなった。両系統を緑化方法や立地によって使い分けることで効率的な緑化が可能であると考えられる。しかしながら、チガヤやススキの室内保存状態での種子寿命は1年以内と短いことが明らかとなり、有効な種子保存法を開発する必要があることが明らかとなった。来年度はこの点をさらに検討する。 昨年度はエンジンブロアーの吸引によって種子を採取する方式を考案し、チガヤ種子の採取効率を手取りのそれと比較検討した結果、単位時間あたりの種子採取量は機械方式が手取りに比べて約28培となった。この方式では、1人の作業者による半日、もしくは1日の作業によって数kg以上の種子が採取可能であり、実用可能であると考えられた。しかしながら、約数キログラムのエンジンブロアーを野草の穂の位置まで持ち上げて長時間作業することは作業者にとって過重であり、この点の改良が必要であると考えられた。 そこで、今年度は、エンジン付草払い機を改造し、回転刃用の動力を種子採取用の「こぎもみローラー」の回転に用いる「採種機」を試作してこの点の改良を試みた。エンジン付草払い機の場合は、エンジン部分を持ち上げることなく、回転部分をススキなどの穂の位置まで軽々と持ち上げて種子を採取できると考えた。そこで実際に試作して採種を試みたところ、作業性が大きく向上した。来年度はこの方式での採種効率を検討する。
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