研究概要 |
当該研究は、野草種子に対応した種子収穫機を開発し、野草の採種性を向上させることを第一の目的としている。この収穫機に必要な仕様は、1,脱粒性が高い風散布種子を収穫可能なこと、2,穂の収穫と脱穀が同時に可能なコンバインとしての機能を持つこと、3,収穫能力が人力作業よりも高く採種コストを低減できること、4,不整立地や荒れ地でも使用可能な携帯型であること、5,機械が比較的安価であること、6.作業性と安全性が高いこと、7.収穫された種子の品質が人力収穫よりも劣らないことの7点である。宮崎大学で検討されてきた「茶摘機」に関する知見を応用することにより、エンジンブロアに改良を加え、上記1〜5の仕様を満たす収穫機の試作機を開発することに成功した。しかしながら、6の作業性については、エンジン部を穂の高さまで手で持ち上げる必要性があるため、長時間作業の場合には作業者に負荷がかかる問題が生じた。また、7の種子の品質については、収穫の効率を上げるためにエンジン出力を上げると、発芽率が低下する問題が生じることが今年度に新たに明らかとなった。これは回転羽への衝突衝撃の増加や夾雑物の混入率の上昇によるものであった。そこで、今年度は、これらの問題の原因を解決することによって、作業性と種子の品質を向上させる目的とした新型の収穫機を開発した。これは、エンジン草刈り機に改良を加えることで6の作業性を向上させるとともに、より衝撃の少ない回転羽に取り替えることにより種子品質を向上させることが可能なものである。今後はこの収穫機による実用的な種子収穫技術の確立が期待される。
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