研究概要 |
種々の動物由来赤血球を用いてC.septicumα毒素の溶血活性の違いと毒素受容体との関連について解析を行った。その結果、α毒素はいずれの動物種の赤血球膜においてもGPI-アンカー蛋白と結合するが、その蛋白領域は動物種によって異なっており、このことがα毒素の動物種による溶血活性の違いに影響していることを明らかにした。これらの結果はJ.Vet.Med.Sci.(67:69-74,2005)に発表した。マウス結合織由来株化細胞であるL929を用いてα毒素のオリゴマー形成に対するコレステロールの影響について調べた。コレステロール除去剤あるいは合成阻害剤で細胞を処理した時、α毒素の細胞への結合は阻害されなかったが、オリゴマー形成が有為に減少し、細胞障害活性も低下した。このことは、α毒素が受容体への結合後、ラフトへ集積しオリゴマーを形成するためには細胞膜上に存在するコレステロールが不可欠であることを示している。以上の結果はMicrob.Path.(37:279-286,2004)に発表した。α毒素が結合するGPI-アンカー蛋白とは異なる新たな細胞分子としてαアクチンを同定した。種々の臓器可溶分画をα毒素と反応させたところ心臓および骨格筋の重合体αアクチンがα毒素と最も多く結合した。α毒素を結合させた筋肉由来株化細胞を可溶化後抗α毒素抗体で免疫沈降した結果、沈降物にはαアクチンが含まれていた。これらの結果は、α毒素が細胞に結合し孔を形成した後、αアクチンと特異的に結合することを示しており、セプチカム菌感染における標的臓器が筋肉と心臓であることと関連性があると考えられる。ここまでの結果は現在投稿準備中であり、次年度、病原性との関連について詳細に解析する予定である。 C.chauvoeiα毒素については一部アミノ酸配列の解読が終了し、その配列を基にPCR用ミックスプライマーを作成しα毒素遺伝子のクローニングを行っている。
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