研究課題/領域番号 |
16580256
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用獣医学
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
向本 雅郁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (80231629)
|
研究分担者 |
小崎 俊司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10109895)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
キーワード | Clostridium / septicum / 壊死毒 / コレステロール / ラフト / GPIアンカー蛋白 / アクチン / 心不全 |
研究概要 |
種々の動物由来赤血球を用いてC.septicumα毒素の溶血活性の違いと毒素受容体との関連について解析を行った。その結果、α毒素はいずれの動物種の赤血球膜においてもGPI-アンカー蛋白と結合するが、その蛋白領域は動物種によって異なっており、このことがα毒素の動物種による溶血活性の違いに影響していることを明らかにした。マウス結合織由来株化細胞であるL929を用いてα毒素のオリゴマー形成に対するコレステロールの影響について調べた。α毒素が受容体への結合後、ラフトへ集積しオリゴマーを形成するためには細胞膜上に存在するコレステロールが不可欠であることを明らかにした。α毒素が結合するGPI-アンカー蛋白とは異なる新たな細胞分子としてαアクチンを同定した。α毒素を結合させた筋肉由来株化細胞を可溶化後抗α毒素抗体で免疫沈降した結果、沈降物にはαアクチンが含まれおり、このことは、α毒素が細胞に結合し孔を形成した後、αアクチンと特異的に結合することを示唆している。C.septicum感染における標的臓器が主に筋肉と心臓であり、直接の死因は急性心不全であると考えられていることから、急性心不全の直接的な原因がα毒素によるものかを確かめるためにマウス胎児の初代心筋細胞とラット灌流心臓を用いて解析を行った。心筋細胞と灌流心臓のいずれにおいても、α毒素添加後、速やかに心拍動の停止が観察された。α毒素は形態的変化を伴った壊死が起こる前に自立性拍動を停止させ、停止時間は濃度依存的であった。この結果は、α毒素が細胞壊死とは別の機構で心筋細胞の拍動を停止させることを示唆している。今後、α毒素による心停止機構とαアクチンへの結合との関連を分子レベルあるいは細胞臓器レベルで解析していく予定である。
|