研究概要 |
1.第四胃変位自然発生例における第四胃および第一胃内ガス組成: 第四胃変位自然発生例(n=26)の第四胃内のH_2、CH_4濃度は、それぞれ、78.0±40.6ppm、6,742.6±2,395.8ppm、第一胃内のH_2、CH_4濃度は、それぞれ、60.7±18.5ppm、6,615,3±2,198,5ppmで、第一胃と第四胃内H_2およびCH_4濃度に差異は認められなかった。 2.第四胃変位自然発生例における呼気ガス組成: 第四胃変位自然発生例(n=26)における呼気中のH_2、CH_4濃度は、それぞれ、18±16ppm、202.6±113.4ppmで、健康牛(n=26)の呼気中のそれ(H_2;15.3±6.5ppm、CH_4;721.5±48.5ppm)に比べて有意(P<0.05)に低値を示した。 3.第四胃変位自然発生例における頸静脈・第四胃静脈血中のNO濃度: 第四胃変位自然発生例(n=26)における第四胃静脈血および頸静脈血のNO濃度は、それぞれ、9.7±3.3μmol/L、11.7±:4.5μmol/Lで、両者間に危険率1%で高い正の相関が認められた。 また、健康牛(n=26)における頸静脈血中のNO濃度は4.4±15μmol/Lで、自然発生例に比べて有意(P<0.05)低値を示した。 4.第四胃変位自然発生例における第四胃壁在NO神経の免疫組織化学的検索: 第四胃変位自然発生例(n=19)における第四胃壁在NO神経の分布状態は、量的に健康例とほぼ同程度で、変化は認められなかった。 これらの成績から、第四胃変位発生の必要前提条件のひとつである第四胃内ガスの過剰蓄積は、第一胃ガスの第四胃への直接流入に基づくことが推察された。 17年度は、これらの成績に至る過程を検索する目的で、迷走神経幹全切除子牛における第一・第四胃内ガス・血清NO濃度・第四胃壁在NO神経の分布状態の変化を経時的に観察する。
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