研究課題/領域番号 |
16580269
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研究機関 | 日本獣医畜産大学 |
研究代表者 |
原 康 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (00228628)
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研究分担者 |
多川 政弘 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (90097072)
根津 欣典 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助手 (20350176)
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キーワード | 下垂体 / op'-DDD / 副腎皮質抑制 / cushing's syndrome / Nelson's syndrome / Negative feedback / corticotroph / MRI |
研究概要 |
健常なビーグル犬に対してop'-DDD〔1,1-Dichloro-2-(2-chlorophenyl)-2-(4-chlorophenyl)ethane〕50mg/kgを一定期間継続投与することにより、副腎皮質機能抑制モデル動物(副腎抑制動物)を作成。この動物に対して、CRH刺激試験、頭部MRI検査、組織学的検査(免疫組織化学による調査を含む)を行い、op'-DDDが視床下部-下垂体-副腎軸に対して与える影響について調査。 実験の結果、以下のような成績が得られた。 (1)副腎抑制動物作成のための投薬中の血清cortisol濃度測定およびACTH刺激試験の結果、十分な副腎皮質の抑制をかけていると示唆される血中cortisol濃度の低下が確認された。 (2)CRH刺激試験の結果、副腎抑制動物において、op'-DDD投与による副腎抑制前に比較して、基礎値および刺激後の値でともに有意に高い血中ACTH濃度を示した。 (3)副腎抑制動物における頭部MRI撮影の結果、副腎抑制後の撮影にて、副腎抑制前に比較して有意に腫大した下垂体を認めた。 (4)副腎抑制動物の安楽死後、採材した臓器の重量を測定した結果、対照動物に比較して、両側の副腎重量は有意に低値を示した。一方で、副腎抑制動物の下垂体重量は、対照動物に比較して有意に高値を示した。 (5)組織学的な調査では、HE染色にて副腎皮質の球状層および束状層の顕著な萎縮が認められ、op'-DDDによる副腎皮質の破壊作用が再確認された。免疫組織化学による調査では、副腎抑制動物の下垂体において有意に面積の増大したACTH陽性細胞を認めた。 今回の検討により、op'-DDDを継続投与することにより作成した副腎抑制動物の下垂体において、副腎抑制前および対照動物と比較して、形態的に有意な腫大と、機能的に有意な亢進を示す所見が得られた。
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