研究概要 |
【キトサン固定化竹酢フィルムについて】三種のキトサン(100,500,1000)と竹酢液から、自然乾燥によりフィルムを得る最適条件を決定した。キトサンの分子量が大きいフィルム(キトサン100<500<1000)ほど膜厚が厚く(0.03〜0.05mm)、引っ張り強度が高い(35〜80N)傾向を示した。引っ張り強度は素材として実用できる強度であった。これらのフィルムは非水溶性で土壌中での分解性が確認でき、竹酢液成分が放出された後に分解されると推察された。フィルム上で大葉の鮮度保持を検証したが、竹酢濃度が高く変色した。フィルムを用いて空中落下菌に対する抗菌性を確認したところ、有意な効果が認められた。機能付加のため被覆型酸化チタン光触媒を添加したフィルムの作製では、混練後に展開する方法によりフィルムを得ることができたが、フィルム強度は低く、水分が接触すると光触媒の超親水性により脆弱化した。包接能を有するシクロデキストリンポリマーを添加したフィルムを得たが剛性で脆かったが、竹酢液由来の臭気は若干低減した。 【アルギン酸固定化竹酢フィルムについて】アルギン酸Na固定化竹酢液フィルムは水に溶解し、フィルムを再溶解溶した溶液をブロッコリー、ネギ、大根に葉面散布したところ、前二者の作物では成育過程を含めて水散布の場合と大差はなかったが、大根では水散布にくらべて虫の食害が小さく、防害虫効果が認められた。大葉の鮮度保持効果をフィルムの再溶解液で洗浄し検証したところ、20日後の鮮度はコントロールの竹酢液洗浄より劣るが水洗より鮮度が保持されていた。フィルムを再溶解(竹酢液100倍希釈相当)した溶液を用いて、植物活性を榊について5ヶ月間検証したところ、約1ヶ月は活性が認められたが、それ以降は水と大差がなかった。アルギン酸固定化竹酢フィルムの再溶解液では、竹酢液の作用を発現できることがわかった。 (797文字)
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