研究概要 |
本研究は、培養細胞の系を利用してヘパラン硫酸/ヘパリンの生合成酵素の細胞内における集積化に関する基礎的知見の収得を目指し、生合成酵素の一つ脱N-アセチル化酵素/N-硫酸転移酵素(NDST)を材料に、1)N末部位を利用した細胞内局在化機構、2)酵素ドメイン同士の相互作用の解明を目的とする。本年度はまず、各NDSTアイソザイムの細胞質領域からステム領域に相当するN末部分の機能を探るために、マウスNDST1の803アミノ酸の触媒領域(m1CAT)のN末側にNDST2,3,4由来のそれぞれの細胞質領域、膜貫通領域及びステム領域を含む約80アミノ酸のN末部分(m2stem,m3stem,m4stem)を持つような融合タンパク質(m2stem-m1CAT,m3stem-m1CAT,m4stem-m1CAT)を発現するようなDNAを構築した。次に、それぞれN-硫酸転移酵素及び脱N-アセチル化酵素の活性をほとんど有していないNDST3及び4が脱N-アセチル化とN-硫酸転移の一連の反応を行うには、NDST3は他のN-硫酸転移酵素の、NDST4は他の脱N-アセチル化酵素の助けが必要である可能性を探ることを行った。このために、マウスNDST1及び2に脱N-アセチル化酵素活性及びN-硫酸転移酵素活性を消失させるような点変異(CW,KA)を導入した変異型酵素(mNDST1-CW,mNDST1-KA,mNDST2-CW,mNDST2-KA)を発現するようなDNAを構築した。これらを上記の異なるアイソザイム由来のN末部分を持つ融合タンパク質は通常の細胞で、マウスNDST1及び2の不活性型タンパク質はNDST3及び4の強制発現細胞において、発現を行い、糖鎖の構造解析等により、アプローチする。
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