研究概要 |
ルミナミシンは11-oxatricyclo[5.3.1.^<1,7>0^<3,8>]undecane骨格に10員環ラクトン、さらに無水マレイン酸と共役したエノールエーテルを有する14員環マクロラクトンが縮環した特異的な環構造を有する化合物である。今回、その相対及び絶対構造を詳細なNMR解析とコンピュータ解析を駆使し、さらに化学変換を用いて決定することができた。 引き続いてルミナミシンの全合成研究を行った。非常に複雑な化合物であるルミナミシンを全合成するにあたり、まず3つのフラグメントに分けて各フラグメントの合成を行った。 即ち、その1つである3,4-二置換フラン環を有するカルボン酸はオキサゾールとアルキナール間でDiels-Alder/retro Diels-Alder反応を行うことで非常に簡便に合成できる経路を開発した。 また、3連続不斉炭素鎖を有するアルコールの合成では、Reformatsky反応とFraterのアルキル化を行うことで高立体選択的に望みの立体配置を構築できた。 一方、11-oxatricyclo[5.3.1.^<1,7>0^<3,8>]undecane骨格の構築においては、分子内で3級アルコールをヘテロマイケル付加後、還元することで、2-oxabicyclo[2.2.2]octene骨格を効率的に構築した後、更にアルデヒドのα位の立体反転を伴った分子内アルドール縮合によりその分子骨格を効率的に構築することができた。 このように各フラグメントの合成を行うことが出来、このことによりルミナミシンの全合成の道を開くことができた。
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