研究概要 |
Cephalostatin類は海洋ミミズの一種であるCephalodis eusgilchristiより単離されたステロイド2量体であり、強力な細胞成長抑制を有する。まず、ステロイド側鎖部の立体選択的構築法の確立を目的として検討したところ、スピロ体の前駆体である16-デヒドロ-22-ヒドロキシステロイドの立体選択的合成に成功した。すなわち、dimethyl[(17M-6β-methoxy-3α,5-cyclo-5α-pregn-17(20)-en-16α-y1]oxymalonateをLiC1とともにHMPA中で加熱すると、Wittig転位と脱メトキシカルボニル化が一挙に進行し、対応する(20S,22S)-22-ヒドロキシ-24-nor-16-コレンー23一酸メチルエステルが主生成物として得られることを見出した。次いで、ステロイド側鎖部に複素芳香環を有する新規OSW-1誘導体の合成を企画した。芳香環の導入は、17E(20)-ethylidene-16α-arylmethyloxysteroidのWittig転位を用いることとした。すなわち、17E(20)-ethylidene-16ct-(4-methyl-2-thenyl)oxysteroidのWittig転位によりステロイド側鎖を導入し、16位のオレフィンを足場にtrans-16,17一ジオールに導いた。次いでステロイド受容体とD-xy1とL-araからなる二糖の供与体によるグリコシル化を行うことにより、目的とするチオフェン環を有するOSW-1の新規誘導体並びにOSW-1の合成に成功した。さらに、塩基性窒素を有する誘導体が未だ合成されていないことに着目し、チアゾール環をもつ誘導体の合成を検討したところ、アグリコンに相当するステロイドの合成に成功した。一方、OSW-1並びにその誘導体に関してLC/MSを詳細に検討したところ、有用な構造情報を得ることができた。
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