研究課題
基盤研究(C)
新規制癌剤の開発リード化合物としてタイ国チュラロンコーン大学薬学部カニ博士の協力のもと、バンコク東側に位置するチョンブリ地方・シーシャン島沿岸に生息する青色海綿Xestospongia sp.のメタノール浸透液を青酸カリウム前処理後、抽出、分離精製してレニエラマイシンM(RM)をはじめとする6つの新規イソキノリン天然物を獲得した。次に、二次代謝産物の安定誘導体であり、グラムスケールで得られたRMから既知天然物レニエラマイシンE(RE)、J(RJ)およびジョルマイシンへの変換経路を開発した。また、各種誘導体を合成し、ヒト実験腫瘍細胞に対する細胞毒性試験を実施し、それらの制癌活性を評価した。さらに、REやジョルマイシンの分解反応によるミモサマイシンやレニエロンの生成を確認し、その反応機構を提唱した。この結果、これまでアジア沿岸に生息する様々な海洋生物の二次代謝産物として報告されてきたシンプルイソキノリン海洋天然物がレニエラマイシン類の分解生成物である可能性を提示した。一方、海綿を餌として生息するウミウシ,Jornna funebrisの探索研究を展開し、ジョルナマイシンA-Cの単離、構造解析を展開した。さらに、本系天然物の恒久的な供給手段の開発を目的として原海洋生物の生態調査を実施し、養殖に必要な基礎的情報とその解析を行った。また、逆合成解析から立案した合成経路に従い、RMの全合成研究を展開し、基本骨格の構築に成功した。以上のように新規制癌剤のリード化合物として世界的に注目を集めながら、天然物として供給が困難であることから様々な研究が進展しなかったレニエラマイシン系海洋天然物の実用的供給手段の開発に成功し、本系天然物を基盤とする創薬研究の展開に必要な基盤的情報を提供できた。なお、本研究成果に対して本研究者が所属する明治薬科大学は平成18年度、日本学術振興会・「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」の拠点大学として採択されたことから、本研究は関連諸国の研究者の協力のもと、さらなる発展が期待される。
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Jpn.Kokai Tokkyo Koho, JP 2004231552 A2 20040819(Priority Application : JP 2003-20821