研究概要 |
1.イミダゾール含有RNAプローブの開発とリボザイムの触媒反応機構の解明 我々は、VSリボザイムの触媒反応機構の解明を目的として、すでにコアビルディングブロックである新規イミダゾールC-ヌクレオシドボスホロアミダイト1を合成した。1を用いてイミダゾール改変VSリボザイム(A756Imz)の化学合成とその自己切断活性の確認を行いリボザイムの反応機構解明のための新規プローブとなる事を明らかとした。これによりVSリボザイムの活性中心はA730ループのA756であることを強く支持した。本研究によりイミダゾールが擬核酸塩基として機能することが初めて明らかとなった。昨年はさらにこの手法をヘアピンリボザイムに適用しG8が一般酸-塩基触媒である事を報告した[RNA誌(2006,2007)]。一方、1の様なホスホロアミダイトの精密質量測定は今まで困難であったが、独自のマトリックスの開発による磁場型分析計(FAB/LSIMS)を用いる手法が、一般性を持つことを多数の例により報告したところ、反響をよびCurrent Protocol of Nucleic Acidsの寄稿要請が受け、昨年11月に新知見を加えた形で発表することが出来た。本年は1を凌駕する新プローブのデザインと合成を目指す。 2.新規ヒスタミンH3(H4)アンタゴニストへの合成化学的研究 我々は、これまでのH3及びH4リガンドの開発から、安定な6員環イス型配座スペサーに着目し、5-アミノ-テトラヒドロピラン-2-イミダゾールの2R,5S配置のみにH3アンタゴニスト活性を発現することを明らかとした。その内特に、嵩高いアルキル側鎖をもつOUP-153がin vivoで脳内ヒスタミンの遊離量を20O-220%に増加させるH3アンタゴニスト活性を示しすことを発見した。一方、我々は合成中間体であり、またそのもの自身がH3及びH4アンタゴニスト活性を含む多くの生理活性を示すイソチオウレアの新規合成法を開発し、すでに学会で報告した(日本薬学会127年会)。本年はこの合成法を完成し、優れたH3(H4)アンタゴニストの創製に鋭意努力する。
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