研究概要 |
スピロファンジンA(1)およびB(2)は、放線菌Streptomycesより4:1の混合物として得られた抗カビ抗生物質である。これらの化合物は7個の不斉炭素を有しており、両端のアルケニルカルボン酸、2つのメチル基が置換した6,6-スピロアセタール構造すなわち1,7-dioxaspiro[5.5]undecane骨格からなり、高度に酸素官能基化された極めてユニークな化合物である.本年度は1および2の全合成を行い、それぞれの単離、絶対立体配置の決定に成功した。まず、基本骨格6,6-スピロアセタールの合成セグメントとしてのアルキンおよびワインレブアミドを共通の中間体より大量に合成することに成功した。また、それらのカップリング成績体の酸処理によりテトラヒドロピランアセタールとした後、メシレート経由でC_<11>位のヒドロキシル基の立体を反転したエポキサイドとした。さらに、propyneを導入後酸処理により、1および2の基本骨格6,6-スピロアセタールの合成に成功した。さらに、Hornor-Emmons反応を用いて左側鎖を、また共通の中間体より誘導したビニルボロン酸エステルを用いる鈴木カップリングを応用し右側鎖を構築した。最後に、選択的脱保護を行い1および2の全合成に成功した。全合成により、提出構造式を訂正でき、かつそれぞれの絶対立体配置を決定できた。また、1および2の異性化反応を行い、それぞれが平衡混合物になることを見いだした。今後の1および2の構造活性相関研究のための合成ルートを確立できた。
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