研究課題
本年度の研究では、レーザースペックルの基本的特性評価、動きの解析、並びに同時蛍光観察の検討を行った。1.レーザースペックルの基本的特性昨年度作製した顕微鏡装置で直接的な照明が可能になり、レーザー光の偏光状態がスペックルに与える影響を評価できるようになった。偏光依存性を詳細に調べたところ、細胞表面での散乱が多くなるs偏光時にスペックルの生じる範囲や光の強度は強くなり、p偏光時には逆に最小になることが分かった。このため、レーザースペックルの揺らぎを評価する際には、レーザー光の偏光を含めて状態を一定に保つことが重要であることが明らかとなった。2.スペックルの動きの周波数解析現在、レーザースペックルの評価はフーリエ変換を用いる方法を利用しているため、その動きの周波数スペクトルを得ることができる。周波数スペクトルを生細胞と固定化細胞で比較を試みたところ、生細胞では数Hz付近に独特なピークが現れることが分かった。このピークを取り出して評価することで、生細胞の活動状態を容易に定量化できる可能性がある(Y.Hirakawa et al.,Technical Digest of CELO 2005)。3.同時蛍光観察法の検討本装置では蛍光を動じ観察することが可能であるため、通常の染色や遺伝子導入による蛍光観察はもちろん、レーザースペックルの細胞に優しい観察法である利点を生かした、自家(自発)蛍光観察が可能な生体分子に関して検討した。その結果、レーザー光源をファイバーレーザーなどの超短パルスレーザーを用いることで、多光子励起により蛍光観察が可能出ることが分かった。また、超短パルスレーザーを用いてもレーザースペックルは通常通り観察できることも確認できた。以上の研究により、今回開発したレーザースペックル蛍光顕微鏡は、蛍光によりミクロな生体分子の動態を、レーザースペックルにより細胞全体のマクロ動態を評価できる可能性のあることをしめすことができた。
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Technical Digest of Conference on Lasers and Electro-Optics/Quantum Electronics and Laser Science and Photonic Applications, Systems and Technologies 2005
ページ: CThC6