研究概要 |
22過齢のメタボリックシンドロームモデルラット(SHR/NDmc-cp/cp)およびその起源ラット(WKY/Izm)の肝臓、腎臓および膵臓を摘出した。それらの臓器をホモジナイザーで破砕し,ホモジネートを超遠心することにより可溶性画分を得た。各試料は、可溶性画分に8M urea,2%CHAPS,0.5%immobilized pH gradient buffer,40mM dithiothreitol,0.002%brome phenol blueを含む膨潤液を加えて調製し、固定化pH勾配ゲル(pH3〜10)を用いて一次元目の等電点電気泳動を行った。次に、泳動したゲルストリップを12.5%SDS-RACEを用いて、二次元電気泳動(2-DE)に処した。さらに、2-DEゲル上で変動のあった多くの疾患関連タンパク質スポットを切り出し、ゲル中でトリプシンにより消化しペプチド断片とした。その後、MALDI-TOF MS装置(AXIMA-CFR plus)を用いて、疾患関連タンパク質の分子量を測定し、SWISS PROTまたはMASCOTにより、疾患関連タンパク質を検索・解析した。その結果、数種(α-enolase, phosphoglycerate kinase, farnesyl pyrophosphate synthetase, chymotrypsinogen B precursor, hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transferase, nucleosidediphosphate kinase B)の疾患関連タンパク質を同定した。これらの同定されたタンパク質のスコア値は高く、また、それらの分子量は2-DEより求めた分子量とほぼ一致しており、疾患関連タンパク質であるのではないかと予測された。 一方、同様に処理した可溶性画分をPD-10カラムで脱塩後、一次元目にクロマトフォーカシングカラム、二次元目に逆相クロマトグラフィー用カラムを組合わせた2-DLCによりタンパク質を各フラクションに分画した。これらの各フラクションをディファレンシャルディスプレイ法により比較した結果、分離パターンの異なる7種の分画画分を得ており、現在MALDI-TOF MSおよびデータベース検索により、これらの疾患関連タンパク質を解析中である。
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