22週齢の雄性ラットSHR/NDmcr-cp/cpおよびWKY/Izmの膵臓を摘出し、破砕後超遠心分離にかけ、得られた可溶性画分の二次元電気泳動(2-DE)を行った。次に2-DEゲル上でSHR/NDmcr-cp/cpとWKY/Izm問で変動のあったタンパク質スポットを切り出し、脱染色、トリプシン処理、ペプチド抽出およびzipTipによるペプチド濃縮後、MALDI-TOFMSにより質量スペクトルを得た。主要質量ピークのリストを作成し、Mascot(Swiss-Prot)を用いてデータベース検索を行い、生活習慣病関連タンパク質の検索および網羅的解析を行った。 2-DEで検出された335個のスポットのうち、32個がデータベース中のタンパク質と有意な一致(p<0.05)を示した。このうちSHR/NDmcr-cp/cpで発現の亢進が見られたタンパク質は、alpha-enolase、 phosphoglyceratekinase、 phosphofructokinase、 farnesylpyrophosphatesynthetase、 insulin-likegrowthfactor、 carboxypeptidaseAlprecursor、 L-lactosedehydrogenaseCchain、 hemoglobinbetachain、 phosphatidylinositolphosphatekinase、 resistin-likealphaprecursorなど15種であった。SHR/NDmcr-cp/cpの膵臓のプロテオーム解析において、肥満や糖尿病を発症した脂肪組織に特異的な分泌タンパク質や高脂血症に関連するタンパク質を同定した。 現在、これら疾患関連タンパク質の変動を解析するとともに、検出されたタンパク質と病態との関連およびバイオマーカーとしての可能性を検討する予定である。
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