研究概要 |
メラトニン合成酵素のレドックス制御機構について以下の結果を得た。 (1)活性発現に必要なシステイン残基の同定 NATには種間に保存されている5つのシステイン残基(37,61,75,158,177番目)が存在する。Acetyl-CoAの前処理によりNEMによる活性阻害が抑制されることから、^<14>C-NEMを用いてAcetyl-CoA存在下、及び非存在下における14C-NEMの取り込みを比較した結果、61及び177番目のシステインが活性に重要であることを見出した。このことは、C61A及びC177AまたC61A/C177Aのdouble mutantがNEMの処理により失活しなかったことからも示唆された。 (2)分子内ジスルフィド結合の同定 分子内-S-S-結合の同定を行った。まず、NATをAcetyl-CoAで処理することによりCys 61及びCys 177を保護し、活性に関係のないシステインをNEMで修飾した。その後、DTT存在下または非存在下5時間透析を行い、各々還元型または酸化型を調製した。V_8 protease消化後、それぞれ酸化型または還元型だけに見られるフラグメントをHPLCにより、単離・精製した。酸化型から得られたフラグメントをDTTにより還元処理すると2本のフラグメントが得られ、各々還元型から得られたフラグメントと一致した。この2本のフラグメントのアミノ酸配列を調べた結果、Cys 61及びCys 177が含まれていた。
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