研究課題/領域番号 |
16590050
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 英明 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (80291524)
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研究分担者 |
田中 嘉孝 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20217095)
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キーワード | メンブレントラフィック / リソソーム / エンドソーム / ユビキチン / 多胞体様構造物 / 蛋白質分解 / AAA-ATPase / プロテオミクス |
研究概要 |
SKD1(E2350)過剰発現により蓄積するユビキチン化膜蛋白質の網羅的プロテオミクス解析: アデノウイルスを用いた変異型SKD1(E235Q)発現によりエンドソームに蓄積するユビキチン化蛋白質を、細胞分画・ユビキチン抗体カラムを用いたアフィニティクロマトグラフにより精製を行い、その中に含まれる蛋白質について質量分析法(ESI-LC-MS/MS)による網羅的プロテオーム解析を行った。これまで20種類以上の膜蛋白質の同定に成功し、そのほとんどが実際にSKD1(E235Q)発現により細胞内でユビキチン化を受けかつ細胞内における局在の変化を示すことを明らかにした。またいくつかの膜蛋白質についてユビキチン化を受けない変異体(リジン残基のアルギニン残基への置換)を作製しそれらの局在や機能が野生型とは異なることを見いだしており、ユビキチン化による膜蛋白質の制御機構を明らかにした。 SKD1結合蛋白質SBP1の機能解析: 可溶性細胞質蛋白質であるSBP1はそのC末部分のCoiled-coilドメインを介してSKD1と相互作用すること、SKD1(E235Q)の過剰発現によりSKD1とともに巨大蛋白質複合体を形成しエンドソーム膜上へと局在することなどを報告した。さらにSBP1はリソソームの形態異常を示すChediak-Higashi Syndrome(CHS)の原因遺伝子であるlyst(lysosomal trafficking regulator)に結合することが知られているlip5(lyst-interacting protein 5)のマウスホモログであることが最近明かとなった。従って、SKD1/SBP1が何らかの形でlystの機能発現制御を行っている可能性が高いと考え、SKD1(E235Q)を過剰発現させた細胞でのlyst蛋白質の局在について検討したところ可溶性細胞質蛋白質であるlystが一部膜画分へと局在を変化させることが明らかとなった。これらの結果より、SBP1はlystと協調的にリソソームの形成や形態・機能の維持に関与していることが明らかとなった。さらにこのSBP1/lystの機能発現がSKD1のATPase活性により制御されていることも明らかとなった。
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