研究課題/領域番号 |
16590051
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野田 百美 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (80127985)
|
研究分担者 |
和田 圭司 国立精神・神経センター, 神経研究所, 部長(研究職) (70250222)
|
キーワード | 炎症 / ブラジキニン / ミクログリア / パッチクランプ / 腫瘍壊死因子 / プロスタグランジン / 一酸化窒素 / サイトカイン |
研究概要 |
中枢におけるブラジキニンの細胞・分子レベル機能解析:ミクログリアにおける機能解明 ブラジキニンは炎症と深い関係がある。中枢神経系において免疫を司っているのはミクログリアであり、活性化ミクログリアはマクロファージ同様、様々なサイトカイン等を放出し、炎症や傷害、アルツハイマー病やエイズを含む様々な神経変性疾患の際に重要な役割を果たしていることが報告されている。そこで、中枢においてミクログリアにおけるブラジキニン受容体とそのシグナル系、およびその機能を検証した。 1)スライス・パッチによるキニン受容体の電気生理学的機能確認(野田) キニン受容体は神経細胞や他のグリア細胞にも存在するのでキニンネットワークの影響を考慮にいれる必要がある。そこで、ミクログリアのスライス・パッチを行い、ブラジキニンの影響について電気生理学的に解析した。 2)ミクログリアからのサイトカイン放出制御(野田・和田) ブラジキニンによってミクログリアから一酸化窒素の放出が観察された。腫瘍壊死因子(TNF-・)はブラジキニン単独では変化しないものの、バクテリア毒(リポポリサッカライド:LPS)による大量放出がブラジキニンで抑制された。これはブラジキニンによるプロスタグランジンの放出とそれによる細胞内サイクリックAMPによることが示唆された。また、スライス標本ではLPSによる神経傷害がブラジキニンで改善された。つまり、ブラジキニンはミクログリアを介して炎症防御、神経傷害改善の働きをしていることが示唆された。このようにミクログリアを介した負のサイトカイン制御機構を構築し、新たな脳内キニンワールドの提唱する基盤を作った。
|