PHGPxノックアウトマウスの胚致死の機構を明らかにするため、受精卵の初代培養系を構築した。Wild typeでは、培養三日目からICMの形成にともない、PHGPxの発現が著しく上昇した。一方、PHGPxのKO受精卵(KO胚)ではICMの増大が見られず、ICMが全く消失していった。KO胚にPHGPx遺伝子をレトロウィルスで感染導入すると、ICMが形成され、胚致死は誘導されなかった。さらにトランスジェニック(TG)レスキュー法によりKOマウスの致死がPHGPxをトランスジェニック(TG)によってレスキューかについて検討した。PHGPxをTGしたPHGPxヘテロマウス作成した。さらに、PHGPxヘテロマウスを交配し、TGされたKOマウスを調べたところ、PHGPxのKOマウスの胚致死はPHGPxをTGすることによりレスキューされることが明らかとなった。 PHGPxが男性不妊患者の精子での発現が著しく低下していることを明らかにしてきた。GPx4の発現が半減したヘテロマウスを用いて、GPx4の精巣での役割を検討した。精巣障害を誘導する(EDS)を投与すると、GPx4の発現が低下したヘテロマウスでは精巣重量が低下し、その減少はwildマウスより顕著であった。EDSによる障害はアポトーシスによるものであることはTUNEL法で確かめられたこのことは、GPx4の発現が低下すると、精巣障害に伴うアポトーシスの誘導が起きやすくなることを示している。
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