研究課題/領域番号 |
16590063
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 教授 (40130009)
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研究分担者 |
山下 純 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80230415)
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キーワード | カンナビノイド / 2-アラキドノイルグリセロール / CB2受容体 / アレルギー性炎症 / 接着 / ホスファチジルコリン |
研究概要 |
2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は研究代表者らが1995年に発見した新しい脂質メディエーターである。今年度の研究により以下の点を明らかにした。 1.2-AGの生成メカニズムの解明。今年度も、まず、炎症部位において、2-AGがどのような脂質から作られるのかを詳しく調べた。昨年の実験で、TPAで惹起した炎症の局所では、ホスファチジルコリンなどから2-AGが産生されることを明らかにしているが、今年度は、より生理的な炎症であるアレルギー性皮膚炎モデルについて調べ、アレルギー性炎症の局所でも、主としてホスファチジルコリンから2-AGが生成していることを確かめた。 2.白血球系の細胞の機能に及ぼす2-AGの影響。マクロファージなどの白血球系の細胞の、β1インテグリンを介したフィブロネクチンなどへの接着が、2-AGによりカンナビノイドCB2受容体およびGi/Go依存的に増強されることを初めて明らかにした。2-AGは白血球の接着(組織や血管壁への接着)を亢進させることにより、炎症を増大させている可能性がある。 3.炎症・免疫系における2-AGの生理的意義の解明。今年度の研究では、2-AGが慢性のアレルギー性炎症(気管支喘息モデル、アレルギー性皮膚炎モデル)に関与しているかどうかを詳しく調べた。その結果、これらのアレルギー性炎症の局所では2-AGの著しい蓄積がみられること、カンナビノイドCB2受容体のアンタゴニストを塗布することにより、アレルギー性炎症(腫脹および白血球浸潤)が強く抑えられることなどを明らかにした。これらの結果は、カンナビノイドCB2受容体とその内在性リガンドである2-AGが、TPAなどによる急性炎症だけでなく、アレルギー性炎症の進展にも深く関与していることを強く示唆するものである。
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