研究課題/領域番号 |
16590076
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20268098)
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研究分担者 |
杉山 晶規 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (40260319)
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キーワード | 一酸化窒素(NO) / 血管内皮細胞 / 血管内皮NO合成酵素(eNOS) / 熱ショック蛋白質90(HSP90) / Akt / PKB / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
血管内皮細胞NOはeNOSにより生成され、局所循環のホメオスタシスに重要な役割を果たしている。eNOS活性はCa^<2+>、HSP90、Aktなどから複雑な調節を受ける。eNOSを活性化するHSP90は、チロシンリン酸化を受けているが、このリン酸化の意義(研究1)について検討した。血管内皮細胞をNO産生刺激すると、HSP90チロシンリン酸化とeNOS-pHSP90-pAkt複合体の形成がみられた。チロシンキナーゼ阻害剤はHSP90チロシンリン酸化を抑制し、同時にeNOS-pHSP90-pAkt複合体の形成やNO産生も抑制した。しかしながら、チロシンキナーゼがHSP90以外のeNOS活性化経路の因子をもリン酸化する可能性が高い。そこでpHSP90を精製した。精製pHSP90の精製eNOSとの結合性および精製Aktとの結合性を、対照の非リン酸化HSP90と比較検討した。pHSP90のeNOSおよびAktへの結合親和性は、両者ともにHSP90よりも有意に高かった。このpHSP90のscaffolding作用の上昇に相関して、eNOSのAktによるSer1177のリン酸化およびeNOSのNO生成活性も増加した。以上の結果から、HSP90のチロシンリン酸化は、HSP90のeNOSやAktへの結合親和性を上昇させる機能があり、HSP90の相互作用による直接的なeNOS活性促進作用、eNOS-HSP90-Akt複合体の形成促進によりAktのeNOSリン酸化の促進を惹起する間接的なeNOS活性促進作用に寄与することからeNOS活性化に重要な役割をもつことが示唆された。次にHSP90をチロシンリン酸化するキナーゼ(研究2)について検討した。NO産生刺激で処理された血管内皮細胞の抽出液には、HSP90をチロシンリン酸化する活性が認められた。現在、このキナーゼを精製、同定する検討を進めている。
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