研究概要 |
現在まで三量体G蛋白質共役型受容体からのシグナルが、種々の伝達経路を経て、様々な細胞運動を制御していることが報告されている。今年度、我々は、1)GqシグナルがHeLa細胞においてアポトーシスを制御すること(Exp.Cell Res.,298,874-879),2)神経前駆細胞においてGi2シグナルが細胞増殖を制御していること(J.Biol.Chem.,279,41141-41148)を報告した。1)の報告を含め、過去、我々は三量体G蛋白質からのシグナルがRhoファミリー低分子量G蛋白質を介して細胞骨格を制御することを報告している。本研究では、それらの分子機構を詳細に検討する目的で、Rhoファミリー低分子量G蛋白質を活性化するグアニンヌクレオチド交換促進因子(RhoGEF)に着目し、種々の活性化型三量体G蛋白質サブユニットにより活性化されるRhoGEFを同定することを目指した。各種RhoGEFについては、データベース中のDblホモロジードメインとPHドメインをもつ遺伝子クローンを入手し、それらの全長にタグを付加し、培養細胞で発現できるようにした。RhoGEFクローンと種々の活性化型三量体G蛋白質サブユニット遺伝子とを共発現させ、細胞の形態変化を観察した。現在のところ、過去に報告があるG12ファミリーにより活性化されるという報告があるPDZ-RhoGEFによる細胞形態変化などは確認できた。今後さらに、形態変化だけではなく他の指標(Serum response elementの活性化など)も含め検討を進めていく予定である。現在検討を進めているRhoGEFの中には、活性化機構がまだわかっていないものが数多くあり、本研究により、それらの活性化機構解明の一端を担えるものと考える。
|