研究概要 |
インターフェロン誘導活性を有する9-bennzyl-8-hydroxyadenine(1)の発見に基づく標記研究課題を達成するために3項目について研究計画を立て、本年度は以下の2項目を実施した。 1.アデニン環2位の化学修飾による高活性インターフェロン誘導剤の合成:これまでの研究から1の2位にアルコキシ基、アルキルチオ基が置換した誘導体に強い活性が見られることから、受容体に対する親和性の向上を期待して2位のアルキル基末端にヘテロ原子を有する誘導体をデザインした。2位に-X-(CH2)n-Y(X=O,S:n=1-3:Y=OH,OMe,OEt,NMe_2)などの置換基をもつ化合物を多数合成した。その中で、-O(CH_2)_2OMe(2)および-SCH_2OMe(3)が置換した誘導体がこれまでに最も高い活性を示した化合物と同等のインターフェロン誘導活性(in vitro)を示した。また、化合物2はマウスでのin vivo評価でもこれまでに最も優れた誘導体と同等の活性を示した。 2.9-bennzyl-8-hydroxy-3-deazaadenine誘導体の合成:化合物1は経口吸収性に優れず経口薬として開発するには問題点を含んでいる。そこで化合物1に比較して脂溶性の向上から薬物動態の点で優れた性質が期待される3-デアザアデニン誘導体をデザインし、4-hydroxypyridineを出発原料に7段階の過程を経る合成を実施した。しかし、現在最終工程で難渋し目的化合物の合成にいたっていない。この合成過程で副生した9-bennzyl-8-hydroxy-3-deazapurineのin vitro活性を測定したが、活性を示さなかった。
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