研究概要 |
内因性カンナビノイドとして見出されたアナンダミド(AN)及び2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)の薬理効果(カタレプシー惹起作用、体温下降作用、ペントバルビタール睡眠延長作用)について、マウスを用いて静脈内投与によりテトラヒドロカンナビノール(THC)と比較検討し、それらの耐性発現についても併せて検討を加えた。AN及び2-AG共にTHCと同様のカタレプシー惹起作用を示したが、作用のピークタイムは1分前後で一過性であり、その後急速に作用は消失した。作用強度はTHCの1/3〜2/3であった。また、両者共に体温下降作用を示したが、これもTHCの1/3-1/4の効果であった。さらにペントバルビタール睡眠延長作用についても、いずれもTHCの1/2程度の作用であった。AN及び2-AGの作用が一過性の要因として、これらは生体内で速やかに加水分解酵素により分解されることが示された。AN(10mg/kg,i.v.)のカタレプシー惹起作用には耐性の発現が見られ、THCとの間にも一部交叉耐性が認められた。一方、AN(10mg/kg,i.v.)の体温下降作用には明確な耐性の発現は認められなかったが、THC耐性動物においては作用の有意な減弱が見られた。さらに、THCの活性代謝物である11-hydroxy-THC及び11-oxo-THCに体する耐性マウスでは、アナンダミド(10mg/kg,i.v.)の作用は完全に消失した。この他、ANはそれ自身有意な体温下降作用を示さない低用量において、THC及びその代謝物の体温下降作用を有意に減弱させた。一方、2-AGの低用量ではTHC及び代謝物の体温下降作用に対する減弱作用は認められなかった。
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