研究概要 |
テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)及びカンナビノール(CBN)は濃度依存的にマウス脳ミクロソームのアナンダミド(AN)及び2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)水解酵素活性を阻害した。この中でCBDが最も強いAN水解活性の阻害作用を示した。テルペン部分やフェノール性水酸基などを修飾した各種CBD誘導体を合成してAN水解活性に対する阻害作用を検討した結果から、CBDの2個のフェノール性水酸基が阻害作用発現に重要であることが明らかとなった。マウス脳ミクロソームおける2-AG水解活性の阻害作用もCBDが最も強く、阻害作用の構造活性相関はAN水解活性と同様な傾向が見られた。2-AGとΔ^8-THC及びその活性代謝物、11-hydroxy-Δ^8-THCの体温下降作用には、ANの場合と同様に交叉耐性の発現が見られた。すなわち、Δ^8-THC及び11-hydroxy-Δ^8-THC耐性マウス(5mg/kg/day, i.v., 3days)においては、2-AGの体温下降作用は有意に減弱された。また、その減弱の程度は活性代謝物耐性マウスでより顕著であった。その結果、2-AG(10mg/kg, i.v.)による最大体温下降(-0.74℃)は、Δ^8-THC耐性マウスでは46%に減弱し、11-hydroxy-Δ^8-THC耐性マウスにおいては、体温上昇作用(+0.33℃)が認められた。2-AGは、ANと同様にそれ自身有意な体温下降作用を示さない用量で、11-hydroxy-Δ^8-THCの体温下降作用を有意に減弱させた。これらの結果から、AN及び2-AGとカンナビノイドの間には代謝的及び薬理学的相互作用存在することが明らかとなった。
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