研究課題/領域番号 |
16590097
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
小嶋 仲夫 名城大学, 薬学部, 教授 (80333178)
|
研究分担者 |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
橋爪 清松 名城大学, 薬学部, 助教授 (50076733)
戸田 千登世 名城大学, 薬学部, 助手 (00076738)
植田 康次 名城大学, 薬学部, 助手 (30351092)
|
キーワード | 酸化的遺伝子損傷 / エチルベンゼン / 代謝活性化 / 光分解 / 活性酸素 / 肝ミクロソーム / P450 / 8-oxodG |
研究概要 |
本研究でわれわれは発がん性エチルベンゼンの代謝活性化による酸化的遺伝子損傷機構を明らかにした。ラット肝ミクロソームを用いた代謝実験により、エチルベンゼンの代謝物としてベンゼン環水酸化体(2-エチルフェノールおよび4-エチルフェノール)を同定した。これらの代謝物はさらに環水酸化を受けて、それぞれエチルヒドロキノン(EHQ)および4-エチルカテコール(EC)へと変換された。EHQおよびECは仔牛胸腺DNAに対してCu(II)存在下で8-oxodG(酸化的遺伝子損傷の指標)を濃度依存的に生成した。さらに、ECの8-oxodG生成量は生体内還元物質であるNADH存在下において4倍に増大した。8-oxodG生成量を指標として各種活性酸素スカベンジャーおよびCu(I)特異的キレート剤を用いEHQおよびECによる酸化的遺伝子損傷メカニズムについて検討した。EHQおよびECの8-oxodG生成に対してヒドロキシルラジカルスカベンジャーは全く抑制作用を示さなかった。カタラーゼおよびCu(I)キレート剤は明らかな抑制作用を示した。また、幅広く活性酸素種に反応するメチオナールも抑制作用を示した。スーパーオキシドジスムターゼはわずかに増強作用を示した。以上のことから、EHQおよびECはセミキノンラジカルおよびベンゾキノン体へと自動酸化される過程でスーパーオキシドを生成すると考えられる。ECは生体内還元物質NADHとの反応により酸化還元サイクルを形成し、スーパーオキシドの生成を増強する。スーパーオキシドはCu(II)を還元してC(I)を生成し、このCu(I)と過酸化水素(スーパーオキシドから生じる)とで形成される錯体がDNAに酸化的損傷を与えると考えられる。このような各種化合物の代謝活性化のほか、光分解物による生体影響についても報告している。
|