1.PCBの代謝機構と動物種差 Kanechlor 500をラット、マウス、モルモット、ハムスターに投与した後のPCB代謝物の肝臓および血液残留性を調べた。モルモットで特定のPCB異性体からメチルスルホン体が生成し、高濃度で組織に残留した。一方、ハムスターでは、カテコール代謝物が生成し、血液に高濃度で残留した。PCB代謝物の組織残留プロファイルは上記4種動物で大きく異なり、残留成分と甲状腺ホルモン低下作用との関連が示唆された。 2.PCBのカテコール体生成 Gunnラット(UGT欠損)とWistarラットでPCB投与後の組織残留代謝物成分を調べた結果、Gunnラットでのみカテコール体が生成し、血液残留した。この代謝物の残留にはUGT活性の有無が大きく影響していることが示唆された。また、特定のPCB2種をハムスターに投与して、その血液残留カテコール体の化学構造を決定し、それらの濃度を測定した。 3.PCB代謝物標準品の合成とGC/MS定量法の確立 PCB水酸化体およびカテコール体(17種のOCH3体)を合成し、GC/MSを用いて、負イオン化CI(ECNI法)による定量法を確立し、EI法と比較した。ECNI法をヒト血清中のPCB水酸化体定量に応用した結果、従来のEI法より数十倍の感度で測定可能であることが分かった。
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