研究概要 |
1 PCBの代謝機構と動物種差 PCBの代謝様式は投与動物に違いがあり、水酸化体と母化合物との関係を明らかにする目的で、カネクロール体生成のための母化合物の構造推定を行った。ハムスター体内で生成したカテコール体の母化合物の共通骨格は2,5-または2,3,6-trichloro骨格を有するPCBで、18種PCBから得られるカテコール体(dimethoxy体)すべての合成と、血液の特徴的な残留パターンを明らかにした。 2 カテコール体の生成機序 ハムスター体内でカテコール体の生成量が高いPCB101を用いた代謝を検討した。PCB101および3-OH-PCB101を基質としてラット肝ミクロソームによるin vitro代謝を行った結果、カテコール体は3-OH-PCB由来で生成することが示唆された。 3 ヒト血液中の残留PCB水酸化体の同定 福岡県住民から得られたヒト血液中のPCBおよびPCB代謝物(水酸化体)をECNI/GC-MSにより定性、定量した。主代謝物は4-OH-2,3,6,3',4'-pentaCB,4-OH-2,3,6,2,4,5-hexaCB,4-OH-2,3,5,6,2',4',5'-heptaCBで代謝物濃度はPCB濃度の約1/10〜1/25レベルで残留した。PCB濃度とPCB代謝物濃度の比が男女別、年齢別で比較されたが、有意差は見られなかった。ヒト血清ではカテコール体の検出はできなかったが、水酸化代謝物組成はラットやモルモットと同様のパターンを示した。
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