研究概要 |
2種の心臓集積性標識薬剤を用い,正常動物における心機能評価を行った。 1 使用薬剤および実験動物 (1)使用薬剤:脂肪酸代謝機能を評価する標識薬剤として[I-131]標識脂肪酸誘導体([I-131]9MPA)を,糖代謝機能を評価する薬剤として[C-14]標識糖誘導体([C-14]2DG)をまた心臓交感神経機能を評価する薬剤として[I-125]標識グアニジン誘導体([I-125]MIBG)を用いた。 (2)実験動物:正常動物(マウス,ラット)を用いた。 2 2種の放射線の分離測定条件の検討 (1)[I-131]9MPAと[C-14]2DG:オートラジオグラフィ法(ARG法)では、両核種から放出される放射線,放出エネルギーおよび半減期の違いを利用し、まずAl板(50um)を用いて[C-14]からの軟β線を遮蔽し,[I-131]9MPAのみのARG画像を得た。続いて[I-131]の減衰を待って(6ヶ月後),[C-14]2DGのみのARG画像を得た。 (2)[I-125]MIBGと[I-131]9MPA:分離計測では、両核種から放出される放射線の放出エネルギーの違いを利用し、両核種を異なるエネルギーレンジで計測することにより、[I-125]および[I-131]各々の放射能を同時分離計測できた。 3 動物実験 (1)脂肪酸代謝機能と糖代謝機能:2種の標識薬剤([I-131]9MPA & [C-14]2DG)を用い、i)心筋集積性経時変化実験 ii)脂肪酸代謝物分析実験 iii)ARG画像作製等を行った。その結果[I-131]9MPAより脂肪酸代謝の,また[C-14]2DGより糖代謝の正常心筋局所放射能分布が画像化できた。また正常心筋における集積率において9MPAの方が2DGより高い集積性を示すことがわかった。(利用率:脂肪酸>糖) (2)脂肪酸代謝機能と心臓交感神経機能:2種の標識薬剤([I-131]9MPA & [I-125]MIBG)を用い、上記i),ii)の実験を行った。その結果[I-131]9MPAより脂肪酸代謝の,また[I-125]MIBGより心臓交感神経の正常心筋における局所放射能分布が画像化できた。
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