研究課題
基盤研究(C)
本研究はトランスポーターによる薬物の生体膜透過に焦点を当て、排泄過程における薬物間相互作用を試験管レベルから定量的に予測するための分子的基盤の構築を目的とした。モデル薬物として、肝排泄型である新規尿酸生合成阻害薬Y-700のヒトおよびラット肝細胞への取り込み機構を解析したところ、Y-700が既知のトランスポーターfamilyであるOATPとは異なる有機アニオン輸送機構によってNa依存的に取り込まれること、その分子機構の一つは胆汁酸トランスポーターNTCPであることを明らかとした。また腎排泄型のモデル薬物として新規ループ利尿薬M17055の腎皮質切片への取込み機構を解析したところ、有機アニオントランスポーターOAT1が少なくとも一部、関与することが示唆された。さらに、腎刷子縁膜トランスポーターであるPEPT2、OCTN1、OCTN2とPDZドメインを有する細胞内タンパク質(PDZK1およびPDZK2)との特異的な相互作用を見出し、PDZK1およびPDZK2が、これらトランスポーターの輸送機能や細胞内局在の制御機構として働くことを見出した。また、細胞内外のH^+勾配を利用してβラクタム系抗生物質等を輸送するペプチドトランスポーターPEPT1と、細胞内外のNa^+勾配を利用してH^+濃度勾配を供給するNa^+/H^+ exchanger(NHE)3に着目し、NHE3共存下においてPEPT1の輸送活性ならびに輸送のpHおよびNa依存性が変化することを明らかとした。以上本研究により、トランスポーター分子群のみならず、トランスポーターと直接結合しうるPDZK1等のアダプタータンパク質、さらにはアダプター分子を介してトランスポーターと相互作用しうるNHE3等の膜タンパク質など、これまで相互作用への関与が知られていなかった多くのタンパク質の、分子基盤としての重要性を提示することができた。
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